Togetterを何気なく見てたらこんなまとめがあって、開いてみると「印伝の山本」さんのツイがあって少し驚いた。
山本さんは甲府市で伝統工芸「甲州印伝」の工房を営んでおられる方。印伝というのはWikipediaの記述を引用すると「印伝(いんでん、印傳)とは、印伝革の略であり、羊や鹿の皮をなめして染色を施し漆で模様を描いたもので、袋物などに用いられる。」
2018年の年末。父から「愛用の長財布がだいぶくたびれてきた。同じものをまた新しく誂えたいのだがどこの物か調べてくれ」と頼まれた。検索に検索を重ねること数時間、どうにかこの「印伝の山本」さんの商品一覧にある「束入れ」にほぼ間違いないと判明した。
山本さんにメールで問い合わせ、確かにウチの品だ、同じ柄の型紙もあります、との返答を頂いたので正式に注文。絶版になっていた裏地以外はほぼ同じものが、当初告げられた納期の半分、約ひと月半で届けられた。「ほかの作業の合間にうまく挟み込めた」とのことだった。父は大喜び、もちろん今も愛用している。
一連のツイートを書かれている方が、当方が「束入れ」を購入した際に応対してくださった方なのか、それともその御子息なのかは定かではないが、伝統工芸に欠かせぬ材料として自ら国産の漆の生産量を少しでも増やそうという取り組みを知ってとても感心した。
というのも、先日訪れた高知城で、天守最上部に設けられた巡縁(バルコニー)の高欄(手すり)の修復作業にあたっては、高欄に塗り込む漆のうち、数回の下塗りには70パーセント中国産30パーセント日本産の漆を混ぜたものが、そして(確か)二度の仕上げ塗りにだけ日本産漆が100パーセント用いられた、という展示を見たからだ。確か紙幣の原料として欠かせない楮や三椏も、現状その大部分を中国からの輸入に頼っているとどこかで読んだ覚えがある。寺社の修復にも柱などで国内でいい材が見つからず外材に頼ることもあると聞く。
そうした中材料の国産化に取り組もうとする姿勢は素晴らしいものだと思う。応援したい。また何か買わせていただきます。
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