2013年06月29日

Foobar2000をリモコン操作でギャップレス再生できるアプリ「Monkeymote 4 foobar2000 HD」(追記あり)

PCオーディオにおいて、音質と利便性の両立にはいろいろと面倒なことが多い。リモコン操作も然りである。iTunesRemoteでコントロールすれば、手軽にギャップレス再生は実現できるし、インターフェースも見やすい。ただしこの場合音楽信号はiTunesおよびQuicktimeの仕様によりWindowsの音声ミキサーを通じて再生されざるを得ないので、音楽データは必ず何らかの変容を被る。ビットパーフェクト、元データとまったく同じデータの出力はできない。

ならばということで再生ソフトをFoobar2000にし、これにプラグインwasapi.dllおよびupnp.dllを、iOSデバイス側にPlugplayerMedia Link Player等のDLNAリモコンアプリをインストールしてwasapi排他モードでの再生とDLNA方式でのリモコン再生を可能にしてみれば、今度はDLNAの規格の制約により、ギャップレス再生ができない。最近のfoobar2000はPC画面で直接操作する場合、特に面倒な設定やプラグインのインストールなしに大抵のファイル形式でギャップレス再生が出来るようになっているが(たしかバージョン0.何々の頃には素のままのfoobarではできなかったように記憶している)、DLNA規格で動作するリモコンアプリで操作するとせっかくのこの特徴を生かすことができない。なんでもDMS(foobar) --> DMC(リモコンアプリ) --> DMS(foobar)というふうにわざわざ再生したいデータそのものを行ったり来たりさせねばならんそうで。面倒なことだ。ついでに書いておくとDLNA方式のアプリは、モノによって程度の違いはあるものの、どうにも見にくい・使いづらいインターフェースのものが多いような気がする。

以前にちょっと使ってみたJRiver Media Centerを、wasapi排他再生のためのしかるべき設定を行ったのちにJRemoteあたりのリモコンアプリで操作してやれば「wasapi排他によるビットパーフェクト再生+便利なリモコン操作」がおそらくは実現できる(というか以前試してできたような気がする)だろうが、個人的にJRMCはあんまり好きになれない。なんか画面がごじゃごじゃしてるし、映像の再生機能その他の付帯機能はいらないし、なんといっても50ドルもする有料ソフトやし。foobarで同じことが実現できないかなあと思っていたらなかば偶然に上記のアプリを見つけた。250円。DLNAとは動作方式が違うようだと分かったものの、半信半疑、これまでに何度か繰り返したように金を捨てるつもりで導入してみたらベートーヴェンの運命、ショスタコの黄金時代その他試したアルバムすべてで音楽が途切れることもなく継ぎ目でノイズが生じることもなく、美しいギャップレスで再生できた。ちょっと感動。パチパチ。

設定は面倒ではない。まずfoobar2000に公式サイトからダウンロードできる専用のプラグインをインストール。続いてApp StoreからiOSデバイスにアプリをインストール。

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PCとiOSデバイスを同一のLAN内に置き、PCでfoobarを起動させてからiOSデバイスでアプリを起動。これでアプリが自動的にfoobarが動作しているPCを検知し、PC名とローカルIPアドレスを画面に表示してくれる。その表示をタップすることで操作画面に入ることができる。

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これがiPad mini上での操作画面。なかなかすっきりしていて使いやすそう。左の欄から「Albums」を選択すると右側にライブラリ内のアルバム一覧が表示され、再生したいアルバムを選ぶとアルバム内の曲目一覧が表示される。で、とりあえず画面下の「Play all」を叩いてやるとアルバムを頭から再生してくれる。ラクだ。もちろん一部の曲を抜き出したり、順番を変更したり、あるいは複数のアルバムにまたがるプレイリストをこしらえて、そのとおりに再生させることも可能。長くなりすぎるので詳細は省略。動作としてはアプリ側でプレイリストをこしらえ、foobar側に「これと同じプレイリストをそっちで作成してそのとおりに再生してね」という指令だけを送る形か。わざわざプレイリストの順にデータを送らせ、それをまたプレイリストの順に送り返す、というDLNA式の迂遠なやり方よりよほどシンプルだ。

またこのアプリはあるアルバムの(より正確にはある特定のアルバム内の曲を曲順どおりに並べたプレイリストの)再生中に別のアルバムを選択し、その曲目一覧を表示させ「Play all」とやると、普通に前に選んだアルバムの再生を中止して(プレイリストをクリアして)あとから選んだアルバムの再生を開始してくれる。普通に、と書いたがこのへんの操作がいやにまだるっこしいアプリが多いので結構新鮮だったりする。

今回ライブラリとして使っているのはiTunesでこしらえたApple Losslessファイルだが、iTunesでシコシコと打ち込んだタグ情報もしっかり活用できる。左側の「Artists」「Genres」「Composers」をタップすれば即座に右側に一覧が表示させ、スムーズに目的のアルバムまたはファイルを検索することが可能。また「Search」はタグ情報全体を特定のキーワードで検索できる。

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個人的にいたく気に入ったのは「Composers」の検索の仕様。目的の作曲家を選ぶとその作曲家の曲が含まれるアルバムが表示され、アルバムの表示をタップするとそのアルバム内の「全曲が」(他の作曲家によるものも含めて)表示される点だ。iTunesでもiOSデバイスでも、作曲家名による検索ではアルバム内の「その作曲家による作品」だけが表示される仕様なのだが、この仕様は特定の曲だけではなくアルバム全体をいつも見渡したい自分にとってはいささか使いづらさを感じていたところで、その点でこのアプリの作曲家名検索の仕様は大いに歓迎したい。もしその作曲家の曲だけを抜き出して再生したいなら、そのようにプレイリストを作ればいいだけの話だし。

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ドイツ語フランス語チェコ語スペイン語等々に使われる点だのチョンだのにょろだろマルだのしっぽだののついた文字も問題なく表示。日本語にも対応。中華くさいフォントでないところが嬉しい。

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左下にある電源ボタンのようなマークをタップすると最初の画面、アプリによって認識されたPCのIPアドレスが表示される画面に戻れる。この画面内の「Settings」をタップすると各種設定が行える。操作画面の表示に関わるいくつかの項目について簡単に解説すると、

・Startup View 最初に操作画面が表示されるときに何を表示させるかを指定。「Now Playing」「Playlists」「Artists」「Albums」「Genres」「Composers」「Folders」から選択可能。

・Orientations リモコン操作に使うデバイスをどちら方向に使うかを指定。「Both」はデバイスの持ち方によって縦長表示と横長表示が自動で切り替わる。「Portrait」は縦長画面固定、「Landscape」は横長画面固定。

・Large Album Covers オンにするとアルバム一覧で表示されるアルバムアートがでかくなる(縦横各2倍)。

以上、かなり便利なアプリなのだが、日本語での紹介があまり見当たらないようなのでざっと書いてみた。なおこのアプリの発売元は、JRMCやMediaMonkey、Winampといった他の再生ソフトに、あるいはiOSだけでなくAndroidに対応するアプリもリリースしている。詳細は公式サイトを参照。

(2013.07.08追記)このMonkeymote 4 foobar2000 HDには操作するタブレット側に操作されるPC側から音声をストリーミングできるようになるプラグインが別途用意されている(80円)。ただし、実際に試してみて分かったが、このプラグインを用いてタブレット側でギャップレス再生を行うことはできないので注意されたし。
posted by とりぷる at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする