2012年02月19日

Esoteric K-05導入。

IMG_5229.jpg

EsotericのSACDプレーヤー、K-05を導入した。先代DENON DCD-CX3は実働わずか2ヶ月となったが退役、先々代のCEC TL2X-Mk2ともども軍資金の一部となった。
自分の目論見はSACD再生の品位向上よりも、このプレーヤーのDAC機能、とりわけそのPCM-DSD変換機能を活用しPCからのファイル再生の音質を改善すること。それゆえK-05ではなくDAC単機能のD-07x(2月下旬発売予定)を選択し、DCD-CX3を残すという選択肢もあったが、「ハコをひとつ少なくできる」というメリットをどうしても捨て去ることができなかった。オーディオ屋のオッチャンにちっとばかりソソノカサレタためでもあるけれど。
DCD-CX3も決して悪いプレーヤーではない。価格相応の面は確かにあるけれど、SACDの品位は十分に感じ取ることができた。

FOSTEXのDAC機能つきヘッドホンアンプの新製品HP-A8もDSD「再生」機能を持ち、しかもK-05やD-07xよりかなり購入しやすい価格なので一度は候補に挙げた。しかし、「PCからのDSDデータ直送りには現時点で対応しておらず、当面の間(DSD直送りのための規格が固まり、それに基づいてドライバのアップデートが行われるまで)DSDファイルをコピーしたSDカードを背後のスロットに差し込んで読み取らせるほかないこと」「手持ちのライブラリをDSD化するには大容量のHDDが複数必要になり(CDからのリッピングファイルを2.8mHzのDSFファイルに変換した場合、自分の実測値では3.8倍程度にデータ量が増大)、また長い変換時間を要すること」「DSDファイルがPCから再生できるようになっても、ギャップレス再生にまで対応するかどうかは未知数」「ヘッドホン使わないし、また例え使うことになってもプリアンプに端子がついてるのでヘッドホンアンプ機能はイラネ」といった理由で見送った。K-05やD-7xは機器側でDSD変換するように設定しておけばPC側の設定変更等は要らないので楽だ。HDDを積み増す必要もないし、今までどおりのやり方でギャップレス再生ももちろんできる。

K-05と同時に購入したのがオヤイデのContinental 5S(USBケーブル)0.6mとタオックのSUB-50G(オーディオボード)。USBケーブルはもう少し安いのにしようかとも思ったが、あとで「もうちっとエエのを買っといたほうが・・・」云々などと気をもむことになるのもできれば避けたいので、「ある程度高品位のものを買って長く使う」というこれまでの自分の原則に従いこれを選んだ。ボードは今まで使っていた同社ラックSS-3の棚板の代替品。元の棚板は購入当初からよくまあこれで検品通すわいと呆れてしまうほど湾曲していた。床に置いて上から押さえてみるとごろごろ転がるくらい。3点支持にして今まで凌いできたが、なんぼなんでもこのボードの上にVRDSメカは載せられん、ということで交換。タオックに二度儲けさせるのは正直いささか腹立たしかったが、他に入手しやすいボードがないので仕方がなかった。よく見ればこいつも厳密にツラが平らにはなってなさそうな感じだが、元の棚板よりだいぶマシではある。

IMG_5239.jpg

IMG_5234.jpg

IMG_5233.jpg

音楽PCも大幅にダウンサイジング。これまでは同軸デジタル出力を持つサウンドボードを使っていた関係でLian-LiのPC-C33というでかいケースを使っていたが、フルサイズのオーディオ機器とこれを重ね置きするのはいくらなんでも野暮ったいと思ったから。以前お遊びで購入したShuttleのベアボーンXG41のマザーボードをASUSのP8H67-Iに換装。CPUはIntel Core i3 2120T、クーラーはScytheのKOZUTIを装着。サイドファン撤去。起動ドライブはCrucial RealSSD 64GB、これは流用。データドライブを載せるスペースがないので2.5インチ1TBのHDDを2台、Scytheの静音HDDケース氷室miniにくるんで上に載せた。これまで作ってきた1.3TB超のiTunesライブラリとプレイリストをそのまま移植したいので、バックプレートを外して内部コネクタと連結、2台のHDDをスパンボリュームとして運用することにした(USB接続ではOSの仕様上スパンボリュームを作れないから)。組んだあとでドライブの空きがいささか心許なく感じたので、試験的に先代で使っていた3.5インチHDD(3TB)+氷室に乗せ換えてみたが、HDDの回転音が耳についたし、それに見た感じあんまりカワイクないのでやめた。まああと500GB以上残ってるし、これを使い切る頃には2.5インチHDDの容量ももっとでかくなっているだろう。あとXG41の筐体の脚部はわずか数ミリの、あってないようなものがついているだけで、放熱の面で非常に心配だったので、以前のDACに使っていたJ1 ProjectのIDSコンポジットなる青色の樹脂でできたキャップ状のインシュレーターで3点支持し、空隙を確保。同じ材質の四角い板状のインシュレーターも余っていたので、これを氷室miniの上に乗せ、その上からこれも使わなくなったRosenkranzのSTB-1を2台のHDDの間を渡すように乗せて鳴き止め。

IMG_5245.jpg

PCとK-05とのUSB接続も、あらかじめドライバをインストールしておいたのですんなり終了。さっそく音出しに入る。まずはSACDから。ディスクはマイルス・デイヴィス・クインテットの『ワーキン』。SACDシングルレイヤー仕様である。
やや冷ややかな感じはするものの、非常に粒立ちの細かい、かつ伸びやかな響きがスピーカーから飛び出してきた。マイルスのミュート・トランペットはとてもリリック。コルトレーンのサックスも熱意たっぷり。他のメンバーもとても伸びやかに演奏している様子が伝わってくる。ほぼ期待通りの出音。
ところでこのプレーヤーに関する記事をネットで検索していたときに、「今までは緻密な解像度を重視していたエソテリックはKシリーズ以降音色の傾向を変え、より音楽的な表現力に比重を移した作り込みを云々」といった意味の記述をどっかで見かけた。今回導入したK-05以前のエソテリックの機器はほとんどまともに聴いたことが自分にはないのだが、K-05の音を聴く限りで判断すると、音楽的表現力の向上に舵を切ったとしても、解像度の高い緻密な音への志向はこのメーカーのいわばDNAとして残っており、また残り続けていくものではなかろうか、という気がした。
次にUSBアシンクロナス接続によるPCからのファイル再生。素のままのDA変換の音とDSD変換処理を経た音をベーム/VPOの『ブラームス : 交響曲第1番』にて比較。こちらも十二分に解像度の高い音。というかいささか固い。これはK-05だけでなく銀線が使われているContinental 5Sの状態も関係しているのだろう。ともに鳴らし始めたばかり。しかもネット上のある記事によるとContinental 5Sはかなり長めにエージング期間をとる必要があるとのこと。
続いて最大のお目当て、DSD変換を行ってみた。音色の傾向にあまり変化はない。空間的な情報量の拡大も、多少は見られるものの、正直期待したよりは少なめ。まあこれはソースファイルのもともとの音質や機器のエージング具合にも左右されるだろうからここで評価を固定することはできないし、したくない(笑)。ただ音の分離が自然さを保ちながら明瞭になり、かつストレス少なく響くようになった、という変化は感じ取ることができた。結果として聴き手である自分もより自然に音と音楽に神経を集中できるようになった、気がする。

さて。このUSB再生にあっては、いささか面倒な問題も生じている。PC側の送り出しをWASAPI排他モードにすると、K-05側の各種設定をあれこれ変更しても、再生開始直前にDACの周波数ロックに関わるものだろうか、「ボツッ」あるいは「ピシッ」というかなり耳障りなノイズが出てしまうことが非常に多い。いろいろなファイルで試してみると、このノイズが出ても小さい音量だったり、あるいはノイズの発生が確認できない場合もあったり、非常にまちまち。そのぶん余計にタチが悪い。WASAPIを共有モードにするとこのノイズは出なくなるのだが、解像度と音の鮮度は明らかに低下する。だからこのモードは使いたくない。
結局当座は、非常にテクニカルでないやり方だが、「15秒程度の無音ファイルを作り、これを再生リストのはじめに置く。再生開始時にはボリュームを絞っておき、開始後無音ファイルから次のトラックに移るまでの間にボリュームを調整する」という方法で対処することとした。再生ソフトは現在のところPlayPcmWinでしか試せてないので、他のWASAPI排他対応再生ソフトでの検証も必要だが、それはまあぼちぼち行くことにする。

名称未設定 1.jpg
posted by とりぷる at 00:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする